ポンプ選びに失敗しないための鉄則は、送り出す主役である液体の顔ぶれを正しく理解することにあります。多くの人が、ポンプであれば何でも液体を運べると考えがちですが、実際には液体の粘度、温度、腐食性、さらには固形物の有無によって、最適なポンプの種類は百八十度変わります。例えば、水道水のようなサラサラした液体であれば、遠心ポンプが最も効率よく安価に運用できますが、これが食用油やペンキのように少しでも粘り気を持つようになると、遠心ポンプの羽根車は空回りし、エネルギーを無駄に消費するだけになってしまいます。高粘度の液体には、ギヤやネジが噛み合いながら液体を運び出す回転容積式ポンプが適しており、これらは粘り気があればあるほど密閉性が高まり、効率よく圧送できるという特性を持っています。また、液体の中に砂や金属の粉などの異物が混じっている場合は、ポンプ内部の部品がすぐに削れてしまうため、耐摩耗性の高い特殊鋳鉄を使用したスラリーポンプや、液体が金属部に触れないホースポンプを検討しなければなりません。さらに、酸やアルカリといった腐食性の強い薬品を扱う際には、ステンレス鋼や樹脂、セラミックといった耐食素材を用いたポンプが必要です。温度条件も無視できません。高温の液体を扱う場合は、部品の熱膨張を考慮した設計がなされているか、あるいは軸受部分を冷却する機能があるかを確認する必要があります。逆に、揮発性の高い液体を扱う際は、わずかな摩擦熱で気化してキャビテーションを起こしやすいため、吸込性能に優れた特殊な形式が求められます。このように、液体の個性に寄り添ってポンプの種類を絞り込んでいくプロセスが不可欠です。スペック表の流量や揚程という数字だけに惑わされるのではなく、どのような状態で液体が流れ、どのようなストレスがポンプにかかるのかを想像することが、トラブルを未然に防ぎ、長期にわたって安定した稼働を実現するための基本となります。
液体に合わせた最適なポンプの種類を選ぶための基本