中古マンションを購入して自分好みの空間に作り替えるリフォームやリノベーションが人気ですが、そこで最大の障壁となるのが排水管の構造です。間取りを大きく変えようとしたとき、キッチンの場所を移動させたいと考えても、排水管がそれを許さないケースが多々あります。その理由は、排水管の配置が建物の床下構造、すなわちスラブと仕上げ材の間のスペースに依存しているからです。大きく分けて、床スラブの上に排水管を転がす床上面配管と、床スラブの下、つまり下の階の天井裏に配管を通す床下吊り配管の二種類が存在します。昭和の時代に建てられた古いマンションでは、下の階の天井裏を自分の部屋の排水管が通っている構造が珍しくありませんでした。この場合、自分の部屋でトラブルが起きても下の階に立ち入らなければ修理ができず、リフォームの自由度も極めて低くなります。これに対し、現在の主流である二重床構造では、コンクリートスラブとフローリングの間に十分な空間を確保し、その中に排水管を配置しています。これにより、排水管に適切な勾配を確保できる範囲内であれば、水回りの位置を比較的自由に移動させることが可能になりました。ただし、ここでも勾配という物理的な限界が立ちはだかります。排水は動力を使わず重力で流すため、一メートルあたり一センチメートル程度の傾斜が必要とされます。排水管を長く引き回せば引き回すほど、床の高さを上げる必要が出てくるため、天井高が低くなったり、段差ができたりするデメリットが生じます。また、配管の種類も進化しています。かつて主流だった鋳鉄管や鋼管は、経年劣化によるサビや腐食が避けられませんでしたが、現在は耐久性に優れた硬質塩化ビニル管が一般的です。さらに、排水時の音を軽減するために、防音材を巻き付けた配管や、吸音性能を持つ素材を用いた配管が採用されるようになり、集合住宅における静粛性の向上に寄与しています。リフォームを検討する際には、まず自分の部屋の床下を覗くことはできなくても、管理組合に保管されている竣工図面を確認することが欠かせません。そこには、建物の骨組みと排水管がどのように共存しているかが克明に記されており、理想の住まいを実現するためのヒントが隠されています。