私が一人暮らしをしていた古いアパートでの出来事です。ある日を境に、キッチンの蛇口から水が滴るようになりました。最初は蛇口を強く締めれば止まっていたのですが、一週間も経つと、どれだけ力を込めても一分間に数滴の漏水が止まらなくなりました。当時は仕事が忙しく、修理業者を呼ぶのも面倒で、バケツを置いておけばいいだろうと安易に考えていました。しかし、その油断が大きな後悔を招くことになります。二ヶ月後、ポストに届いた水道代の検針票を見て、私は自分の目を疑いました。普段は二千円台だった請求額が、五千円を軽く超えていたのです。水漏れ以外に心当たりはなく、あのポタポタという小さな滴が、これほどの金額の差を生むのかと愕然としました。さらに追い打ちをかけたのが、ポタポタ音が気になって夜中に何度も目が覚めるようになり、慢性的な睡眠不足に陥ったことです。精神的にも経済的にも追い詰められ、ようやく重い腰を上げて自分で修理を試みることにしました。ネットで調べたところ、どうやらコマパッキンという部品を換えれば直るらしいことが分かりました。近くの店で百円程度のパッキンを買い、水道の元栓を閉めてからモンキーレンチで蛇口を分解しました。中から出てきたパッキンはボロボロに裂けており、これでは水が止まるはずもありません。新品に交換して組み立て直すと、あんなに悩まされていた漏水が嘘のようにぴたりと止まりました。あの時すぐに修理していれば、三千円近い余分な水道代を払わずに済んだのです。たった百円の部品と十分の作業を惜しんだせいで、私は高い授業料を払うことになりました。もし今、蛇口から水が漏れているのを見つけたら、どんなに忙しくてもその日のうちに対処することをお勧めします。水道メーターのパイロットが、水を使っていないのに微かに回っているなら、それは住まいからの緊急警告です。ポタポタという小さな音を単なる生活音として聞き流すのではなく、家計と住環境を守るための早急な対応が必要なアラートとして捉えるべきです。