私が一人暮らしを始めて数年が経った頃、キッチンの蛇口から微かな異音が聞こえるようになりました。最初は気のせいかと思っていましたが、よく見ると蛇口の先端からポタポタと水が滴り落ちていたのです。当時は仕事が忙しく、バケツを置いておけばいいだろうと安易に考えていました。しかし、その甘い考えが後にどれほどの後悔を生むか、その時の私は知る由もありませんでした。一ヶ月後、ポストに届いた水道代の請求書を見て私は目を疑いました。普段の倍近い金額が記載されていたのです。最初は検針の間違いではないかと疑いましたが、原因は間違いなくあのポタポタでした。たかが一滴、されど一滴。絶え間なく流れ続ける水は、私の知らないところで莫大な量になっていたのです。慌てて修理業者を呼ぼうとしましたが、週末は予約が埋まっており、結局さらに数日間は水が漏れ続けることになりました。その間、滴り落ちる水の音が精神的なストレスとなり、夜もぐっすり眠れなくなったのを覚えています。ようやく修理に来てくれた作業員の方は、蛇口を分解しながら私にこう言いました。水漏れを放置すると、水道代が高くなるだけでなく、湿気によってシンクの下にカビが生えたり、集合住宅なら階下への漏水トラブルに発展したりすることもあるのだと。私の場合は幸いそこまでの被害はありませんでしたが、パッキン一個を交換するだけで直るはずだったトラブルを放置したせいで、余計な水道代と修理費用を支払う羽目になりました。あの時すぐに自分でパッキンを買いに行くか、業者を呼んでいれば、これほどの損失はなかったはずです。この経験から学んだのは、住宅の不具合に「些細なこと」など存在しないということです。特に水回りのトラブルは時間が経つほど事態が悪化し、経済的な損失も大きくなります。今では、蛇口を閉めるたびに水が完全に止まっているかを確認するのが習慣になりました。もし、あなたの家の蛇口からポタポタと音が聞こえてきたら、それを「ただの音」だと思わずに、すぐに対処することをお勧めします。
ポタポタ漏れる蛇口を放置して跳ね上がった水道代の恐怖