それはある冬の深夜、家の中が静まり返っていた時のことでした。ふとトイレの方から、聞き慣れないボコボコ、ゴボゴボという不気味な音が聞こえてきたのです。最初は誰かがトイレを使ったのかと思いましたが、家族は全員寝ており、家の中には私一人しか起きていません。不安に駆られてトイレのドアを開けてみると、そこには異様な光景が広がっていました。便器の中にいつも溜まっているはずの水が、見たこともないほど低い位置まで減っていたのです。そのわずかに残った水面が、時折下から突き上げられるように揺れ、そのたびに嫌な音が響いていました。慌てて水を流そうとしましたが、もし溢れてしまったらという恐怖が頭をよぎり、その場に立ち尽くしてしまいました。翌朝、すぐに専門の修理業者を呼んで調べてもらったところ、原因はトイレットペーパーの使いすぎによる軽微な詰まりと、排水管の通気不全が重なったことだと判明しました。どうやら、排水管の奥の方でペーパーが固まり、そこを水が通るたびに空気がうまく抜けず、私の部屋の封水を吸い込んでいたようです。業者の人が専用の道具で管を洗浄すると、詰まっていた汚れが一気に流れ去り、水位は元の正常な位置に戻りました。あのゴボゴボという音は、排水管が苦しくて出していた悲鳴だったのだと気づかされました。それ以来、私はトイレの水位に人一倍敏感になりました。少しでも水面が低いと感じたり、流した後に変な音がしたりすれば、すぐにチェックを欠かしません。また、トイレットペーパーも一度に大量に使うのを控え、二回に分けて流すようにしています。あの深夜の不気味な音と、底が見えそうなほどに減った水の光景は、今でも鮮明に覚えています。トイレは当たり前に使えるものだと思っていましたが、目に見えない配管の先で何かが起きているかもしれないという危機感を持つようになりました。水回りのトラブルは、起きてからでは遅すぎることが多いものです。皆さんも、もしトイレから変な音が聞こえてきたら、それは単なる偶然だと思わずに、早めに点検をすることをお勧めします。あの時の恐怖を二度と味わいたくないという思いから、私は今日も排水口の様子を静かに見守っています。