賃貸マンションやアパートで、シャワーヘッドから水が漏れ始めた。そんな時、多くの人が「これは、大家さんに言うべきか、それとも自分で修理すべきか」と、その対応に迷うことでしょう。そして、何よりも気になるのが、「修理費用は、一体誰が負担するのか」という、金銭的な問題です。賃貸物件における水漏れの対応は、その「原因」がどこにあるのかによって、責任の所在と、費用負担者が、大きく変わってきます。そのルールを正しく理解しておくことは、大家さんとの無用なトラブルを避け、円満に問題を解決するために、非常に重要です。まず、大原則として、水漏れの原因が、シャワー水栓（蛇口）本体や、その内部の部品、あるいは壁の中の配管といった、「建物の設備そのものの、経年劣化や、初期不良」によるものである場合。その修理・交換の責任と、費用負担は、物件の所有者である「大家さん（貸主側）」にあります。これは、大家さんが、入居者に対して、その物件を、安全かつ快適に使用できる状態で提供する、という「修繕義務」の範囲に含まれます。入居者が、通常通りに生活している中で発生した、不可抗力的な設備の故障は、大家さんが責任を持って直すべき、というのが基本的な考え方です。この場合、あなたが真っ先にすべきことは、自己判断で修理業者を手配するのではなく、「すぐに、管理会社や大家さんに連絡し、状況を報告する」ことです。そして、大家さんが手配した業者に、修理をしてもらう、という流れになります。しかし、一方で、水漏れの原因が、入居者の「不注意や、故意・過失」によるものである場合は、話は別です。この場合、修理・修繕の責任と費用負担は、原則として「入居者側」にあります。例えば、シャワーヘッドを床に落として、破損させてしまったり、あるいは、自分でシャワーヘッドを交換しようとして、接続部分を壊してしまったり、といったケースです。これは、入居者が、部屋を善良な管理者として注意を払って使用する義務（善管注意義務）に違反した、と見なされるためです。また、シャワーヘッドのパッキンのような、消耗品の交換については、契約内容によっては、入居者負担とされている場合もあるため、一度、賃貸借契約書を確認してみるのが良いでしょう。