現場で長年、数多くの水回りトラブルを解決してきた私の経験から言うと、キッチンの排水口からボコボコという音が聞こえ始めたら、それは「イエローカード」が出ている状態だと思って間違いありません。お客様の中には「水は流れているから大丈夫だろう」と高を括っている方も多いのですが、実はその油断が一番怖いのです。ボコボコ音がするということは、配管のどこかが確実に狭くなっている証拠です。私たちプロが現場に行くと、まず排水管の中にどれくらいの汚れが溜まっているかを確認しますが、音が出ているお宅の配管は、たいてい油脂が層になってガチガチに固まっています。これを放置してレッドカード、つまり完全な閉塞状態になると、シンクから水が溢れるだけでなく、最悪の場合は配管の継ぎ目から漏水して階下にまで被害が及ぶこともあります。よく「市販の洗剤を毎日使っているから大丈夫」とおっしゃる方もいますが、洗剤で溶かせるのは表面のヌメリ程度で、何年もかけて固まった油脂の塊にはほとんど太刀打ちできません。もし音が気になり始めたら、まずはご自分でできる「お湯溜め洗浄」を試してみてください。これで改善すれば軽度の詰まりですが、音が消えなかったり、数日で再発したりする場合は、配管の奥深くで深刻な問題が起きている可能性があります。また、よく針金ハンガーを伸ばして突っ込む方がいますが、これは絶対にやめてください。配管に穴を開けてしまったり、ハンガー自体が抜けてなくなったりして、余計に事態を悪化させるケースを何度も見てきました。私たちプロが使う高圧洗浄機は、配管を傷めずに内壁の汚れを根こそぎ落とすことができます。修理費用を気にして先延ばしにする気持ちも分かりますが、被害が大きくなってからの修繕費や、階下への賠償額を考えれば、早めにプロを呼んで清掃を行うほうが、結果的にはるかに安上がりで済みます。排水口の音は、住まいを長持ちさせるための重要なアドバイスです。その声に耳を傾けて、早めに対処することをお勧めします。