ある製造工場において、原料移送の工程で使用していたポンプの種類を見直したことで、生産性が劇的に向上した事例があります。この工場では、揮発性が高く、さらに微細な固形物が混じった特殊な化学薬品を取り扱っていました。従来は汎用的な遠心ポンプを使用していましたが、シールの摩耗による液漏れが頻発し、そのたびにラインを停止して部品交換を行う必要がありました。また、薬品の粘度が気温によって変化するため、移送量が不安定になり、最終的な製品の品質にバラつきが生じるという課題も抱えていました。そこで、設備担当者が提案したのが、空圧式のダイヤフラムポンプへの変更でした。このポンプは、圧縮空気を利用して左右の膜を交互に動かす仕組みで、電動モーターを使用しないため防爆性が高く、揮発性の高い薬品でも安全に扱うことができます。さらに、内部に回転部や軸封部がない構造のため、固形物が混じっていても詰まりにくく、液漏れのリスクを最小限に抑えることができました。導入後、真っ先に現れた変化は、メンテナンス回数の劇的な減少でした。以前は毎月のように行っていたシールの点検が不要になり、生産ラインの稼働率が大幅に向上したのです。また、ダイヤフラムポンプは一回のストロークで送る量が一定であるため、流量の管理が非常に容易になり、原料の配合精度が向上して製品の歩留まりも改善されました。このように、単に古いものを新しくするのではなく、扱う液体の性質に合わせてポンプの根本的な種類や仕組みを再検討することが、工場全体の効率化にどれほど大きな影響を与えるかをこの事例は示しています。現在は、さらにセンサーを取り付けて、ポンプの作動回数から液体の消費量をリアルタイムで把握するシステムも導入されており、スマート工場化への大きな一歩となりました。適切なポンプの選択は、単なる設備の更新ではなく、経営課題を解決するための有力な手段となり得るのです。
工場の生産性を劇的に変えたポンプの種類と導入事例